プレイヤーサポート
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「United By Games」パネル - 迷惑行為への対処
当社のコミュニティマネジメント部門グローバルヘッドであるNee Nguyenは、10月5日にロンドンで開催されたUnited By Gamesにて「Dealing with Toxicity - Creating the right Environment for Players(迷惑行為への対処 - プレイヤーのための適切な環境作り)」というパネルに参加しました。これさえやればいいという単純な解決策があるわけではありませんが、Neeを含めた登壇者たちは迷惑行為に対処する方法と、ポジティビティに報いるための継続的な取り組みについて解説しました。
迷惑行為に打ち勝つための第一歩は、問題が発生する前に対処することです。プレイヤーを確実に守りサポートするためには、発売までの準備が何よりも肝心です。開発者とコミュニティチームの間でのやり取りがどのようなものかを明確にすることが欠かせません。どのようなフィードバックが寄せられ、それが開発チームの作業にどのように反映されるのか? クライアントにとって何が迷惑行為にあたるのかを早い段階で明確にし、コミュニティチームと開発チームの両方で期待値を管理しましょう。また、予想されるアクティビティの時間を固定し、社内でも社外でも可能な部分はプロセスを可視化しましょう。
既に発生している迷惑行為に対処する場合、アンチチートソフトや、さらに重要となる本人確認ソフトなど、どのツールが利用可能であるか、そしてその使用方法を知っておくことが大切です。迷惑行為の多くは、匿名性とそれがもたらす安心感から生まれます。しかし、プレイヤーがオプトインし認証して匿名性がなくなれば、迷惑行為もなくなる可能性があります。そして忘れてはならないのが、ID攻撃から機械学習する機会があるということです。
レポーティングツールでは、問題や不具合を評価する基準数のトリガーを設定します。期待値を管理しやすくするために、何が修正され、何がされないのかをプレイヤーに明確に伝えることでストレス値を緩和します。大きな目標はゲームプレイのコミュニティを守ることですが、最前線にいるモデレーションチームが迷惑行為を緩和し、解決するために戦っていることを常に念頭に置いてください。より大きなコミュニティをサポートするのと同じように、これらのチームに配慮し、耳を傾けてサポートする必要があります。
本パネルで興味深かったのは、迷惑行為とゲーム売り上げの関係性についてです。仮にあるゲームが迷惑行為を誘発し、サポートチームがそれに対処できないと見なされた場合、同じチームによる今後のゲームに悪影響が及ぶ可能性があります。ネガティブな感情がパブリッシャーの全体的な売り上げを悪化させるのと同様に、迷惑行為はプレイヤー層に直接影響するため、スタジオ側は深刻に受け止めることが重要です。たとえ、将来的に発売するゲームが別ジャンルだったとしても、プロジェクト間の会社の評判は引き継がれる場合があります。
上での対戦は、個人的なレベルの対立や攻撃性を生み出すことが頻繁にあります。MMOもまた悪質な行為が行われやすい傾向にありますが、中にはEVE Onlineや World of Warcraftのように協力を促進しようとするものもあります。一人用ゲームの中にも、過去に発売されたシリーズによって不信感を煽るようになり、それが災いして迷惑行為にまで発展する場合もあります。しかし、コミュニケーションやプレイヤー同士の直接的な関わり合いがあるゲームには、正しい行為と悪質な行為の両方が行われる可能性があることを認識しておかなければいけません。
悪質な行為を罰するだけでは不十分だとしたら、正しい行為を促すにはどうすればいいのでしょうか? ポジティブプレイの促進は、多くの場合プレイヤーの報告に依存するため困難な場合があります。そのため、悪質な行為を追跡して特定する方がはるかに簡単です。正しい行為をするプレイヤーとはどのような人物で、そうしたプレイヤーをロールモデルにするにはどうすればいいのでしょうか?
重要なのは、ポジティブプレイに報いるだけでなく、称賛に値する模範がどういうものかをコミュニティに示すシステムや取り組みを考案することです。これは、ポジティビティと正しい行為のメリットを示すことで、迷惑行為を行うプレイヤーを改心させる巧妙な手段となり得ます。しかし、ゲーム内の仕組みでこうしたプロモーションが実行不可能であれば、フォーラムや配信、コミュニティサイト、イベントなどゲーム外で行わなければなりません。
プレイヤーコミュニティにおける伝道師の役割を作り出すことも、注目に値するプレイヤーを支持する方法です。また、フォーラムで彼らにモデレーションの権限を与えることも、プレイヤー層から非常に見えやすくし、同時に公式モデレーションチームのプレッシャーを取り除くことができます。透明性こそがポジティブプレーの力を形にする鍵なのです。
コミュニティが発案したコンテンツを支持することも、ポジティブプレイを促進する素晴らしい方法です。公式チャンネルで直接そうしたプレイヤーに話しかけることで可視性を高めることができます。これはまた、ブランドに顔を持たせることで企業に人間味を与え、プレイヤーもその一部であるように感じさせることができます。可能であれば、チームの主任開発者やコミュニティのMVP、VIPと顔を合わせたり会話したりする時間を設けるといいでしょう。コミュニティのメンバー1人1人に気を配ることでコミュニティ全体に活力を与え、それそれがゲームの一部であると感じさせることができます。その結果、ポジティブな感情が生まれ、ネガティブな感情を減らすことにつながります。より現実的な効果を得るためにトラストスコアを作成し、プレミアムメンバーシップの無料提供など、正しい行為に見返りを与えましょう。
悪質な行為を罰するには、単にプレイヤーを追放したり何かを取り上げるだけでは不十分です。真に迷惑行為を撲滅するには、正しい行為にも見返りを与え、コミュニケーションを明確かつ一貫したものにする必要があります。これらは、ゲームの存続期間中、さらには同じスタジオやパブリッシャーによる複数のタイトルにまたがって持続するような包括的で快適なコミュニティを発展させるために欠かせません。これはモデレーションのシステムとツールを開発するための適切な計画を練ることから始まり、最高に価値あるプレイヤーサポートを提供する注意深く、自覚的で、思いやりのあるコミュニティチームによって継続的なものとなるのです。