アートワーク制作
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チーム訪問:Alexander Stepanchikov
今回は、1518 Studiosでリード3Dキャラクターアーティストを務めるAlexander Stepanchikovを取り上げます。
Alexanderがコンピューターグラフィックスに興味を抱くようになったのは、彼が13歳の時にさかのぼります。友達の家に遊びに行き、そこにあったコンピューターに触れて驚いたそうです。Alexanderが見ている中、彼の友達は3DS Maxで空飛ぶ円盤を作成し、ライティングや背景を付けて完成させました。「その時に世界をモデル化したいと思いました」とAlexanderは話します。「ただひとつしかない世界を作りたいと。しかし、わたしはPCを持っていませんでした。どうしてもPCがいるんだと親にすがりついたのを覚えています。まもなくして両親が買ってくれ、早速インストールしたプログラムが3DS Studio Max 2.5でした」
Alexanderは、独学で技術を身につけた数少ないアーティストの一人です。当時はインターネットもなかったので、あらゆる試行錯誤を繰り返しながら苦労して学んだそうです。ようやくインターネットが登場したのは、それから約1年後でした。「最初にやったことは、かっこいい3Dギャラリーを探し回ることでした。アーティストたちの作品のレベルの高さに衝撃を受けたことを今でも覚えています」
しかし、経験豊富なアーティストとの比較は、諸刃の剣でした。「当時の一流アーティストが光の速さで駆け抜けていく傍らで、自分は1年に1歩ずつ進んでいるかのような感覚でした。それからの1年間は必死に努力し、空いた時間はすべてこの新しい趣味に費やしていましたが、この間の自分の成果がとても小さなものだということに気づき、ひどく絶望し、それからしばらくの間は諦めてしまっていました」
しかし、大変喜ばしいことに、アレキサンダーの生来の粘り強さが実を結ぶこととなりました。「勇気を出して、CISで最も偉大な第一人者の方の一人に手紙を書きました。もちろん返事がくることはないだろうと考えていましたが、心の奥底では少し期待していました。返事が届いたとき、どれほど驚いたか想像してみてください。憧れの人から、開発を続けていくモチベーションとなる言葉をもらえたのです。自分の翼が広がったような気がしました」。彼の作品は賞を受賞したり、ギャラリーで展示されるようになりました。その後、フリーランスとしてイギリスやアメリカのクライアントと仕事をするようになり、現在の地位を築いています。
Alexanderの成功の秘訣は、「『仕事は重荷になってはいけない、常に楽しくあるべきだ』という信念です。シンプルなルールですが、実際にはなかなか難しいものです。内容は原始的でつまらないが、報酬のいい仕事に誘惑されることもあります。しかし、そのような仕事をこなしても自分の成長にはつながらないということを理解するべきです。仕事がルーティン化し、労働時間は長くなり、かつて好きだった仕事が嫌いになったような気がしてきて、「金曜日まで生きていたい」という思いだけが募ってきます。
Alexanderは、クリエイティブな仕事がAIに取って代わられる恐れはないと考えています。「デジタルアーティストに取って代わるのではなく、助けてくれるようになると確信しています。もうすぐわたしたちはニューラルネットワークのない生活を想像することができなくなるでしょう。ちょうど今のわたしたちが「モバイル機器やインターネットがなかった頃はどうやって生活していたのか」わからなくなっているのと同じことです。
最後に、これから活動を始めようとしているアーティストに向けて、力強いアドバイスをいただきました。「どんどん開発を続けてください。目指すべきは、プロセスを楽しむことです。楽しさを感じられなくなってしまったときは、警鐘を鳴らし、なぜそうなっているのか、なにが間違っているのかを考えてみましょう」