アートワーク制作
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『New World』に登場:Amazon Gamesの『New World』で、アーティスティックに細かなディテールに息を吹き込む
『New World』は、Amazon Gamesが開発し、2021年9月にリリースされた大規模多人数オンライン・ロールプレイングゲーム(MMORPG)です。ローンチ日には100万人以上のプレイヤーが『New World』に入りました。ゲームに新ゾーンや敵、武器などの面白いコンテンツが追加されるたびに、新たな冒険者が続々と押し寄せています。
Aeternumという魔法の島がこのゲームの舞台です。プレイヤーは厳しい環境の中で生き残り、新しい文明を築かなければなりません。『New World』では、プレイヤーは他のプレイヤーと協力し、敵対する生物や他のプレイヤーから要塞を守ることになります。生き残りをかけた血みどろの闘いに向かおう!
1518 Studiosは、この優れたプロジェクトにアートプロダクションを提供できたことを大変光栄に思っています。
このプロジェクトの興味深い要素として、ゲームエンジン「Amazon Lumberyard」のアセットを視覚的に評価し、微調整できたことがあります。
このプロジェクトでは、エンジンで理想的な結果を得るために、個別にモデルの改良を行う必要がありました。幸運なことに、Amazon Lumberyardを使って掘り下げた仕事ができました。このエンジンは非常に高品質な画像を生成しますが、理想とするような外観を実現するためには、SpecularとGlossinessの値を正確に調整する必要があります。こうして、とても生き生きとした結果を得ることができました。
私たちアーティストにとって、このスタジオのコンセプトアートに携われたことは何よりの喜びであり、非常に質の高い仕事に携われました。キャラクターや武器のデザインからインスピレーションを受けました。また、3Dアーティストがレンダリングしやすいように、あらゆる角度からのパース、無駄な影や色の変化がないクリアな図面、アセットのさまざまな部分に素材の特性が示された詳細でわかりやすい参考写真など、2Dアートも用意されました。そうした微妙な差違のおかげで、仕事で大いに助けられています。
見どころの一つは、キャラクターのアーマーにさまざまな模様や装飾がふんだんに施されていることです。こうした効果を作り出す方法は色々とありますが、私たちにとって最も便利な方法を選びました。
従来の方法としては、パターンの作業には、精細なモデルの段階で作成する方法と、テクスチャの段階で作成する方法の2つがあります。
どちらの方法にも長所と短所があります。例えば、ハイポリの段階でパターンを作ることで、モデルの奥行きを利用し、パターンの溝や出っ張りを使って、より面白い、変化に富んだ形状を実現できます。この方法を選択すると、ベイクされたテクスチャにすぐにパターンが表示されるため、SPジェネレータでの作業がスムーズに行えます。
しかし、ハイポリの段階でこれらのパターンを変更・調整すると、コントロールと可変性が失われます。テクスチャーの段階でパターンを追加することで、デザインの拡大縮小や調整を素早く行えるようになりました。このオプションには特有の問題があります。ほとんどの場合、必要な場所で垂直方向と水平方向の位置合わせを行い、UVを追加で準備する必要があります。でも、パターン全体を手動で作成する代わりに、パターンのタイルマスクを使用できるようになります。
単純なタイルパターンをテクスチャーの段階で全部作り、形状やパターン画など細かい作業が必要なものはスカルプト上で直接行うという方法を、可能な限り組み合わせました。
今回のプロジェクトで特に大変だったのは、重構造の裾と、細かいディテールがふんだんに盛り込まれていたことです。ファスナーやロープ、包帯など、細かいデザイン要素が、その後のスキニングやアニメーションの作業の複雑さを大きく左右するため、早い段階でその差異を察知しておく必要があったのです。
ハイポリ(HP)の段階では、ローポリ(LP)モデルのポリゴン数の厳しい制限とトポロジーの最大限の単純化を考慮して、ベイクマップと正しく連携するためにアセットの必要な要素を即座にマッチングして調整する必要があります。ここでの課題は、技術的仕様を考慮した上で、いかに興味深いシルエットを維持するかということです。作業の一部の段階では、モデルのビジュアル品質を評価するために、テクスチャベイクでクイックテストLPを作成することが非常に役に立ちました。このようなクイックテストは15分程度で完了し、早い段階で作業をHPで修正できます。
一番大変だったのは、メトリクスを使った作業でした。メトリクスとは、足、腕、胴体、頭といったアーマーのさまざまな要素がどこにどのようにフィットするか、また武器の可動部が手とどのように相互作用するかを表すメッシュの制約の体系です。自作アセットとゲーム内に登場するアセットとで、さまざまなアーマーを組み合わせる際に、穴や交差を防ぐために必要なものです。このシステムで作業する際に発生したさまざまな問題を、Amazonの監修アーティストと一緒に解決していきました。この要件では、アセットモデルを必要に応じて調整できず、メトリクスのためにデザインやプロポーションを変更する必要があることがよくありました。これらは必ずしも明確に決められたものではなく、多くのアーティストは、コンセプトをできるだけ忠実に守ることに慣れていたため、普段とは違う考え方をする必要がありました。その結果、膨大な数のアセットができあがり、ゲーマーがどのように組み合わせても、どのような組み合わせにも明確にフィットすることが確認できました。
『New World』では、キャラクターのヘアスタイル作成も楽しい仕事でした。XGen、Ornatrix、FiberMeshなど、さまざまなツールを使用しました。
ヘアスタイルを作る際の最大の目標は、少ないリソースで最高の仕上がりを実現することです。複雑なヘアスタイルの場合、数千枚のポリゴンプレートが必要になることもありますが、品質を落とさずに量を最適化することを優先しています。そのためには、テクスチャアトラスをうまく作るしかありません。例えば、ロングの巻き毛を作るには、直毛ロックのスパイラルプレートだけでなく、巻き毛をベイクしたフラットプレーンも使用します。これによって髪の毛のポリゴン数を減らすことができ、プレートの配置を工夫することで、よりふんわりとした、変化に富んだフォルムを作ることができます。また、髪のボリュームや奥行きを出すために、ネガティブスペースを使うことも重要です。
これまでに2Dと3Dで188のアセットを、12,096時間かけて制作しました。現在も制作が続いています。この仕事のやりがいのある部分として、Amazon Gamesの素晴らしいチームと一緒に仕事ができることが挙げられます。高品質で精細なゲームアセットを制作する際に発生する課題に一緒に取り組んで、制作したものがゲームのビジョンと技術的要件の両方に適合していることを確認するのです。これは夢のような経験です。課題に一つ一つ取り組むことで、私たちのスキルが向上し、1518 Studiosはますます魅力的な場所になっていっています。
PTWブランドファミリーの1518 Studiosは、世界中の最新ゲームに登場するリアルなアート(とその他の色々)を制作しています。お問い合わせから、あなたの物語を世界に届けるお手伝いをさせてください。