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LIVE OPSの反復推進のためのVoC活用
プレイヤーサポート
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プレイヤーフィードバック
ゲームの開発環境は黎明期から大きく変化しています。以前の開発はかなり限定的かつ直線的なものでした。従来のロードマップでは、アイデア出しから始まり、最終ビルドを経て、製品の出荷に至ります。非常に閉じられた開発過程だったため、フィードバックが影響を与えるのは現在のゲームではなく開発中の最新作でした。
しかし、近年のトレンドである「ライブ」型のゲームは開発が継続的に行われ、新しいビルドが繰り返し追加されることもあり、プレイヤーからのフィードバックは開発のパイプラインに組み込まれます。加えて、実際のゲームデザインに影響を与えるのは、フォームやフォーラムで集められた目に見えるプレイヤーのフィードバックだけとは限りません。むしろ最も重要なフィードバックはプレイヤーの目には見えないところで生まれ、デベロッパーのみが見られるものです。
静的な開発から動的な開発へと移行したことで、ある意味ではパワーバランスがデベロッパーからプレイヤー側へと変化したと言えます。インターネットによってほぼリアルタイムで反応が得られるようになったことで、ゲーム制作者はより厳しい目で見られるようになりました。これは以前では考えられなかったことです。クリエイターやパブリッシャーが体験させたいものをプレイヤーに提供するという従来のトップダウン型のゲーム開発のあり方が、ある種の大転換を遂げることになったのです。
現在、ゲームのライフサイクルを考える際には、プレイヤーの要望を踏まえて設計されます。どのようなアイデアであっても、目標は常にユーザーにプレイしてもらうことであり、優れたデベロッパーはフィードバックに注意を払います。
しかし、このフィードバックにはさまざまな形があり、意見がすべて同等の重みを持つというわけではありません。フィードバックが表出する第一の形式はもちろん、ソーシャルメディアです。プレイヤーがオンラインのライブゲームについて語る場合、通常は自然な反応をフィルターを通さずに表現しています。そのため玉石混交になり、意味のあるものと価値のないものを選別するのが難しいのです。ですが、ソーシャルメディアではプレイヤーの総意を、好評か不評かマクロスケールで把握し識別することは可能です。評判が良いものと悪いものを具体的に把握することはできませんが、新機能導入後の最初の2、3日には有効な手法となります。
それでも、すべての声が同じ重みを持つ、というわけではありません。ソーシャルメディアでは初心者からベテランまで、様々なプレイヤーが多種多様な意見を述べています。そのため、新規プレイヤーの意見は、熟練プレイヤーの意見ほどには有意義ではないかもしれません。ゲームに反映可能で注意を払うに値する意見の傾向を知ることは、コミュニティマネージャーの責務になっています。
フィードバックにおける第二の形式は、ゲームの公式チャンネルで直接伝えられるものです。ウェブページ上のメールフォーム、プレイヤーが参加できるアンケート、またはモデレーターのいるフォーラムなどを指します。書き込むのに少し手間がかかるため、プレイヤーの意見がより詳細に、事細かなポイントに至るまで記述される傾向があるのが長所です。通常、カジュアルなプレイヤーがこのような場所に意見を書くことはないため、時間をかけて分析することが有効です。
また、このようなメッセージには技術的な問題や、ゲームコンテンツの内容ではなくその挙動についての問題に関する意見が書き込まれることがあります。公式チャンネルでのコミュニケーションは、不具合を特定するデベロッパー側にも、同じような問題を抱えている他のプレイヤーにも有用な意見交換の場です。フォーラムのスレッドに問題とその対処方法の両方が掲載されていると、そのスレッドは直接サポートセンターにかかってくる電話100本分もの働きをすることもあります。
プレイヤーが直接意見を送らなくても、デベロッパーは第三のフィードバックを受け取れます。これはデベロッパーにとって最も価値が高く、ゲーム自体が自動的に収集する「テレメトリクス」と呼ばれるものです。テレメトリクスは、プレイヤーが操作するui、使用するアイテム、留まった場所、その他のゲーム内の様々な要素など、プレイヤーのあらゆる行動を記録します。このため、開発者が何が機能していて何が機能していないかを知ることができる、他の形式のフィードバックよりも有益な手段となり得るのです。
例えばテレメトリクスでは、プレイヤーがマップ上で最も時間を費やした場所を知ることができます。あるエリアから別のエリアへ移動する時に理想的なルートが用意されている場合に、テレメトリクスを使用すればプレイヤーがどこで行き詰っているかや立ち往生しているかが明らかになります。これによってデザイナーは、プレイヤーがどこに行くべきかを示す視覚的なガイドの必要性に気付き、次のアップデートに反映させることができます。
これはテレメトリクスが役立つ例の一部であり、その他にもデザインとプロダクションのプロセスを支援する方法は多岐にわたります。それぞれのゲームセッションでは非常に多くのデータが収集されるため、データアナリストは内容を精査し、どこに重きを置くかを把握しておく必要があります。それでは、プレイヤーからのフィードバックがもたらす力の核心に迫りましょう。
ライブゲームでは、デザインやプロダクションの選択が非常に重要です。これらの選択はゲームのその後のリリースに影響を与え、それがプレイヤーの体験にも影響し、ひいてはプレイヤーの満足度につながります。そして、その満足度がライブゲームの成功を左右します。つまり、プレイヤーを満足させればゲームは収益を上げ続けることができます。一見するとシンプルな原理だと思われるかもしれません。
ですが、こうした判断はデータに基づいて慎重に行うことが必要であり、決して感情に左右されるものであってはいけません。プレイヤーが感情的な発言をするのは自由ですが、デベロッパー側はその発言を鵜呑みにはできません。決定を行う際は、プレイヤーの発言ではなく、プレイヤーがゲーム内でどう行動しているかを示すデータによっての裏付けが欠かせません。ゲームを変化させるのは、フォーラムにおけるプレイヤーの意見の多さではなく、データが示す事象であるという事実を知って驚く人もいるかもしれません。この認識の差は、ゲームを面白くないと感じるプレイヤーがいても、その理由がわからない時もあるということに由来します。
ゲームのリリース後のアップデートは綱渡りのようなものです。プレイヤーのフィードバックが反映されていることを知ってもらうと同時に、デベロッパーはプレイ体験を向上させる形でデザインを繰り返し検証する必要があります。プレイヤーが望むものをそのまま実装することでは解決しません。1人が望んでいたとしても、別のプレイヤーが望むものは正反対である可能性があるからです。
最良のシナリオは、プレイヤーから見た目の変更に関するリクエストが多く寄せられる場合です。特定のスキンを求められたり、ユーザーインターフェースの色を変更したいと言われたり、その他数々の見た目に関する要望が考えられますが、見た目だけを変えれば良いため、実際のコンテンツの挙動に影響はありません。このような変更は、デザインと実装が比較的簡単で、その方法も非常に様々です。
しかし、ゲームの仕組みに関わる骨組み部分を変更する必要があるとしたら、それはより大きな問題になり得ます。ゲーム性そのものに影響を与えるような、広範囲な影響を与える可能性があるからです。この場合、変更を実装した後のゲームよりも元の雰囲気を好むプレイヤーを遠ざけてしまう恐れがあります。元のゲームプレイからの変化が大きすぎて既存のプレイヤー層を失い、廃れていったゲームの話は枚挙に暇がありません。
このようなケースでは、ゲームの元々のデザインに欠陥があるか、既存の人気ゲームの成功を模倣しただけで、プレイヤーが古いゲームから新しいゲームへと移行させるのに十分な差別化が図れていない可能性があります。しかし、テレメトリクスに適切な注意を払えていれば、正しい判断を下すことができ、競争相手がいる中でゲームを成功させることができたはずです。
現代のゲームデベロッパーが行うアップデートは、ライブゲームにとって諸刃の剣となっています。継続的な収益による成功の可能性は非常に大きい一方で、そのゲームが生み出すデータ量もまた継続的に大きくなります。ゲームの内容やジャンルに関わらず、プレイヤーの行動を真に理解し、リリース後のアップデートを適切に管理するためには、この日々増大するデータの収集と分析が不可欠です。ライブゲームが盛り上がるかどうかは、データアナリストの専門スタッフが鍵を握っています。
外部の開発者としての意見ですが、開発、プレイヤーサポート、qaが一つ屋根の下にあることで、live opsの反復をかなり効率的に進めることができると思われます。qaチームは、ソフトウェア製品のリリース後やリリース前の問題点、回避策、ユーザビリティに関するアドバイスなどの知見を数多く持っています。このメリットを活用することで、より多くの情報を得て、反応が早く、効率的なpsチームを作ることができます。こうして、開発プロセスの継続的な反復を補完することができるというわけです。
ライブゲームの運用には注意が必要で、フィードバックループをうまく利用することがゲームの成否の鍵となります。私たちは、優れたゲームを市場に送り出し、発売後もゲームの面白さと人気を維持することを大切にしています。皆さまのvoc、live ops、プレイヤーサポート戦略の構築をお手伝いできることがあれば、ぜひご連絡ください!